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日刊自動車新聞特集記事 2月7日最終面 企画・解説

DME車の実証実験が最終段階に
  国交省  新潟~横浜間で公道走行実験

08年に年産10万トン規模で商業化

燃料製造会社立ち上げ 9社共同出資

207/02/07 日刊自動車新聞

 DME(ジメチルエーテル)車の実証実験が最終段階を迎えている。国土交通省は、新潟~横浜間で次世代低公害車開発・実用化促進事業で開発した大型DME車の公道走行試験を始めた。燃料供給側では三菱ガス化学、伊藤忠商事、石油資源開発など9社が共同出資し、新潟県にDME燃料を供給する「燃料DME製造」を立ち上げた。08年6月から年産10万トン規模で商業化する。
 DMEは、排ガス中にPM(粒子状物質)を含まないディーゼル燃料で、天然ガスや石炭を原料に合成できる。これまで化粧品の噴射剤などに使われてきたが、石油系燃料を代替する将来のクリーン燃料として注目され、合成技術から自動車などへの応用技術が開発されてきた。
 自動車への展開は、NKK(現・JFE)が直接法DME合成プラントに関連した需要先として、構内運行車両をレトロフィット技術による改造し、運行させたことに始まる。
 01年からは、経済産業省系の産業技術総合研究所中心にレトロフィットによるDME自動車の早期実用化研究に移行。これがLPガス供給事業者などを含めた新車開発に切り替わり、この流れが、民間ベースのDME自動車普及推進委員会の事業へと受け継がれた。
 並行して国土交通省は02年に立ち上げた次世代低公害車開発プロジェクトで、交通安全環境研究所が日産ディーゼルとともに積載20トンの大型DME自動車を開発、実用化の促進のための公道走行実験が始まったところだ。このほか、新潟、北九州、神奈川臨海部でDME実用化のための地域プロジェクトが取り組まれている。
 DME自動車の排ガス性能は、これまでの実証実験でデータとして確認済みで、DME自動車普及推進委員会に自動車メーカーとして加わっているいすゞ中央研究所のコモンレールDMEの試作車では、DPF(微粒子除去装置)、NOx(窒素酸化物)触媒を装備することなしにポスト新長期の排ガス規制値をクリアしたとのデータも示されている。
 商業車用のディーゼルで、後処理装置のコスト負担が軽減されるメリットは大きそうだ。
 燃料供給面では、9社共同出資による新会社が今年4月に設立され、メタノールを原料に08年からDME製造を始める。2010年以降、DME自動車の本格普及を見込んでいる。
 一方、課題も山積する。DMEスタンドが今後どれだけ増えるのかどうか。性質の似ているLPガスの供給インフラを利用することが見込まれるが、燃料の供給現場は保守的だ。
 さらに資源を持たない日本として、石油系資源の代替として天然ガスの利用を進めようと努めてきた。天然ガスを自動車燃料に使うときDME合成よりもGTL(ガス液化)軽油を合成して、軽油に混入して利用したほうが、給油面で既存インフラを使え、初期投資が軽減されるという考え方もある。
 しかし、DMEはバイオマスからも合成可能で、GTLとの比較で排ガスがクリーンで、試算では温暖化効果ガスの排出も少ないという。どう育てるかがこれからの課題になる。

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中国・上海でDME車の商業運行開始

 5月からバス10台

2007/02/07 日刊自動車新聞

 中国・上海で今年5月から10台のDMEバスによる試験的な営業運行が始まる見通しだ。DME自動車普及推進委員会による中国DME事情調査などで明らかになった。使用される10台のバスはすでに完成し、3月にはデモ走行を行う予定だ。
 中国のDMEバスは、上海交通大学の黄震教授らのグループが取り組んできた。05年に同大学で開かれたアジアDME会議でも実車展示があった。ディーゼルバスの改造タイプで、長さ11・5メートル、車両重量15・9トン、75人乗り。屋根に容量150リットルの燃料タンクを3基積んでいる。エンジン改造は上海柴油机股份有限公司が当たっている。
 複数台数のDME車がフリート走行を行うのは、中国が初めて。上海市政府は2010年に予定されている上海万博に合わせて1千台のDMEバスを導入する計画があり、これに向けたフリートテストになる。
 中国では大都市周辺で大気汚染軽減を目的にDME車の開発が行われている。このためバスが中心で、トラックは走行地域が限定されず、地域的な大気質の改善への効果が薄いため、開発が後回しとなっている。
 その一方で、エネルギーの安定供給にためにプラント開発が進み、現在年産30万トンのDME製造プラントが稼働中で、計画では2010年までにその規模は約1200万トンに達し、稼働時期不明なものも含めると、2300万トンに達する。

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〈インタビュー〉自動車メーカーから見たDME

ディーゼル用燃料として燃料性状は群を抜く

PMゼロ、NOx対策容易だが・・・・
供給面、製造品質など課題山積
いすゞ自動車上席執行役員・浦田 隆氏に聞く

2007/02/07 日刊自動車新聞
―DMEの燃料プロジェクトは進んできた。自動車メーカーとして対応はどうか

 「DMEはPM(粒子状物質)ゼロで、セタン価が高く、高率のEGR(排気循環)がかけられ、NOx(窒素酸化物)対策も容易だ。事実、中央研究の実験データでは、PMゼロという結果が出ている。EGRを相当量かけられ、かつPMが出ない。NOx触媒なしでポスト新長期の範囲はクリアできると見込まれ、後処理装置の負担が軽減できるというコストメリットは大きい」

―後処理装置を軽減して、ポスト新長期をクリアしたという話をきいた

 「そういう実験データは確かに出ている」

―ディーゼル燃料として理想的ではないのか

 「問題もいくつかある。まず燃料に潤滑性がないことだ。噴射ポンプは特殊な加工が必要だし、燃料タンクも変更しなければならない。これらを部品メーカーに発注し、量産に入るのだが、現時点では量産するめどが立っていない」

―燃料の供給面で見通しがないことが原因か

 「当社はCNG(圧縮天然ガス)車について、約80%のシェアを持つ。天然ガススタンドは、日本ガス協会が相当に力を入れて整備した。だから自動車メーカーも車を売りだし、車両と燃料との両輪で普及を進めることができた。しかし、DMEそのものの供給ポイントが、今後どれだけ増えるのか、その見極めができない。DMEの供給がどうなっていくのか、エネルギー問題になると自動車メーカー1社だけではどうにもならならない」

―課題は供給面だけか

 「DME用のエンジンは自社開発で取り組んでおり、耐久性、経済性、安全性など確認すべきものが山積している。またDMEを燃料として供給するためには燃料品質に関わる法律の問題もある。新潟のようにメタノール脱水法でDMEを製造すると、ほんのわずかだがメタノール分が残る。それがどこにどのような影響をもたらすか、見極めることも必要だ。量産するためには超えなくてはいけないことが多々ある」

―車両量産のめどは、

 「基本的にDMEは気体燃料であり、シールに関しては時間をかけて確かめる必要がある。そのめどが立つのが、今から懸命に取り組んで2、3年はかかる。5、6年経てば年間10台、20台のレベルで生産できると思う。こうした取り組みを積み重ねて技術を集積し、初めて量産できる段階になる。量産まで7、8年はかかるだろう」

―実際の利用面では中国で進む可能性が高い

 「中国ではエネルギー供給最優先で取り組んでおり、力技で進めているようにみえる。LPG(液化石油ガス)と同じような性質があるから、取り扱いも容易だ。現時点で中国のDMEの生産は年産120万トンあまり、原料となる石炭などが豊富で今後計画を含めると、年間1500万トンの製造が行われるようになると聞いている。日本の場合、GTL(ガス液化)軽油も選択肢の一つにあがる。日本とは事情が大きく異なる」

―GTLのメリットは

 「性状が軽油に近い。100%GTL軽油で動かすことができるし、新規の部品も少なくて済む。既存の燃料供給インフラもそのまま使える。実際には、軽油に混入して使うのが筋だと思う。問題は、軽油と同じなのでDPF(微粒子フィルター)が必要になるし、NOx触媒も装備するなど、後処理の装置による排ガス対策が必要になることだ」

―BDF(バイオディーゼル燃料)含め燃料が多様化している。ディーゼルメーカーとして対応が難しいのでは

 「燃料の多様化への対応は、進めなければならない課題と考えている。DMEやGTLばかりでなく東南アジアでは国策としてBDFの導入が進もうとしている。日本でもBDFを導入しようという動きがあるが、廃食油を使うという特殊事情がある。廃食油のBDFまで使うとなると、燃料性状のばらつきが大きく、排ガス性能をはじめとし、製造者として製品を保証することは不可能に近い」

(聞き手=論説委員 青山信一)

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