日中DME自動車シンポジウム 関連ニュース
〈社説〉日中DME自動車シンポジウムに期待する
「日中DME自動車シンポジウム」が12月3日に中国・上海市の上海交通大学で開かれる。環境に優しい自動車新燃料であるDME(ジメチルエーテル)の利用を促進するため、日中間の協力の枠組みができあることに大きな期待が寄せられる。
温暖化対策は世界共通の課題だ。シンガポールで開かれた東アジアサミットは、数値目標設定を見送ったものの、温暖化問題に対するアジアの協調と国際的な連携を確認し、財政支援や技術移転を始めとするさまざまな手段を通じてクリーン技術の利用を促進することなどを盛り込んだシンガポール宣言を採択した。
このとき中国は、地球温暖化の原因となる窒素酸化物の排出抑制に取り組むとし、独自の公約を掲げて、環境を重視する姿勢を強調した。一方、こうした各国の環境への取り組みを支援する立場にあるのが日本で、積極的な技術支援・移転が求めらている。
DMEは、石炭の環境負荷を低減し、効率的にエネルギー利用する「クリーンコールテクノジー」の一つである。このクリーン技術で日中間の協力関係を明確にするのが、今回開かれるシンポジウムであり、東アジアサミット直後に開催する意義は大きい。
DMEの特徴は、熱効率の良いディーゼル燃焼が可能なことだ。さらに軽油を使ったディーゼルとの決定的な違いは、DMEがガス体であるために排ガスにPM(粒子状物質)を含まないことである。すでに、中国では豊富にある石炭をクリーンエネルギーとして利用するため、DMEの大規模プラントが建設されており、さらに自動車燃料としても利用する研究を進め、路線バスでの試験的利用が始まっている。
中国は、今後さらに需要が増加する自動車用燃料にDMEを利用したいと考えており、効率的なDME合成技術やエンジン、インフラを整備するための技術を必要とする。日本国内ではあまり目立たない技術だが、日本はすでに「ポスト新長期」規制をDPFなしでクリアしたDME自動車を造っているほどの高い技術を持つ。
DMEの技術開発に取り組んできた日本の関係者は、中国でDME利用が拡大することが自分たちの取り組みに弾みにつけることになると期待する。だが、それだけではないだろう。ベトナムのような石炭資源を所有する国はもちろんのこと、小規模な天然ガス田を持つ他のアジア諸国でも、応用可能な技術がDMEであるからだ。もちろんバイマスガスからも合成可能で、経済発展とともに急速にエネルギー需要を高めるアジア諸国に有効な技術でもあるのだ。
シンポジウムは間違いなく、温暖化防止に向けたアジア協調の大きな一歩となろう。この枠組みにとどまることなく、さらに拡大を続けていってほしいと思う。そのためには積極的な日本の技術公開が必要だ。資料、法律、技術書等が英訳されないために、日本が優れた技術、行政手法を持っていてもアジア各国に受け入れられない事例は多い。
また、協力の枠組みが、官庁ごとにつくられることも気になる。積極的な環境支援に日本的な縄張り意識を持ち込んでしまってはもったいない。環境問題で日本が積極的なリードを求められることは間違いないのだから、DMEで始まる一歩をさらに大きく育てることに努めるべきだと考える。
上海でDME自動車シンポ/12月、日中共催
運輸政策研究機構国際問題研究所、DME自動車普及推進委員会、交通安全環境研究所、トタル、豊田通商は、DME(ジメチルエーテル)を燃料とする自動車の普及促進をめざして、12月3日に中国上海の上海交通大学で「日中DME自動車普及推進シンポジウム」を開催する。日本側は大型DMEトラック(総重量20トン)と大型DMEハイブリッドバス(70人乗り)の2台を、中国側は9月から上海市内で営業運行を開始したDMEバスなどを出展する。
国内では過去10年来、NKK(現JFE)による小型トラックなど計12台のDME自動車が製作されてきた。中でもいすゞ中央研究所によるコモンレール方式DMEトラックはJFEスチールの事業用として2年間の使用でも問題なく走行できるレベルに至っている。さらに最新の車両ではすでに3万キロを超える走行実績を挙げている。今後、大量生産可能な車両をめざして、さらに研究開発が進む見通しだ。
一方、中国ではすでにDMEが家庭用燃料に供されており、自動車への利用も始まっているが、実用化面で技術信頼性の問題が存在する。今回のシンポジウムは日本企業が蓄積したDMEの利用技術を中国に提供・協力できる素地づくりの場として期待されている。併せ、共通基盤となるインフラを含めた標準化も検討される。シンポジウムの最後にはまとめとして「合意文書」が採択される予定。
新燃料DME/12月に上海で「日中シンポ」
新燃料DME(ジメチルエーテル)の日中での普及を図るため、運輸政策研究機構国際問題研究所、DME自動車普及推進委員会、交通安全環境研究所、トタル、豊田通商は8日、中国の全国メタノール・エタノール・エーテル等のクリーン燃料による自動車専門委員会(CAAEFA)、上海交通大学、中国石油化学工業会、中国自動車工業会、新奥集団、上海市などと共催で、12月3日に中国・上海市の上海交通大学で「日中DME自動車普及推進シンポジウム」を開催すると発表した。両国がDME自動車を展示する。
DME開発は、日本ではJFEグループが主体となって自動車用燃料などへの利用技術を研究。実用化レベルに達しているほか、中国ではすでに家庭用燃料として普及しており、自動車用にも用途拡大が進みつつある。両国が環境に優しい新燃料としてDMEの特徴や課題などを話し合い、普及に弾みをつけようというもの。
同時に実施される展示では、日本側から大型トラック(総重量20トン)と大型ハイブリッドバス(70人乗り)の2台のDME自動車を出展。中国側からも上海市内で営業運行を開始したDMEバスなどを出展する。
日中が協力、DME自動車普及を目指すシンポジウムを開催
運輸政策研究機構国際問題研究所、DME自動車普及推進委員会、独立行政法人の交通安全環境研究所、トタル、豊田通商は、DME(ジメチルエーテル)を燃料とする自動車の普及促進を目指して、中国側の全国メタノール・エタノール・エーテル等のクリーン燃料による自動車専門委員会、上海交通大学・燃焼環境技術研究センター、中国石油化学工業会、中国自動車工業会、新奥集団、上海市等と共同で、12月3日に、中国上海市の上海交通大学で「日中DME自動車普及推進シンポジウム」を開催する。
日本側は、大型DMEトラック(総重量20t)と、大型DMEハイブリッドバス(70人乗り)の2 台のDME自動車を出展する。中国側は9月18日から上海市内での営業運行を開始したDMEバスなどを出展する。
DMEは中国で豊富な石炭を利用することが可能なために新燃料の中でも注目を集めている。今回のシンポジウムを通じて、日本企業がDMEの利用技術の開発で養った蓄積をきちんとした形で中国に提供・協力できる素地を醸成することと、中国での成功体験が日本でのDMEの活性化に結びつける方針だ。また、その共通基盤となるインフラを含めた標準化も検討する。
シンポジウムの最後には「合意文書」の採択を行う予定だ。《編集部》
日中協力して、DME自動車普及を促進
日本と中国では、環境に優しい新燃料DME(ジメチルエーテル)を燃料とする自動車の普及促進を目指し、共同で“日中DME自動車普及推進シンポジウム”を12月3日に開催する。
このシンポジウムは、日本からは財団法人・運輸政策研究機構国際問題研究所、DME自動車普及推進委員会、独立行政法人・交通安全環境研究所、トタル、豊田通商株式会社が出席、中国側からは全国メタノール・エタノール・エーテル等のクリーン燃料による自動車専門委員会(CAAEFA:China Association of Alcohol & Ether Clean Fuels and Automobiles)、上海交通大学(燃焼環境技術研究センター長・教授:黄 震)、中国石油化学工業会、中国自動車工業会、新奥集団、上海市等が参加し、上海交通大学において開催される予定。
日本側は、大型DMEトラック(総重量20トン)と、大型DMEハイブリッドバス(70人乗り)の2台のDME自動車を出展。中国側は、9月18日から上海市内(147号線)での営業運行を開始したDMEバス等を出展するという。DME燃料は、中国ではすでに家庭用燃料として供給されていて、自動車に対する利用も実用化に踏み出したところ。生産面でも石炭原料・年産300万トンの設備が建設開始されている。一方、日本では2006年の商業化を目指していたが、2008年7月をめどに年産8万トンレベルでの生産が開始されるにとどまっている。今回のシンポジウムでは、互いのDME利用技術を提供するとともに、今後の共通基盤となるインフラを含めた標準化も検討・協力の対象とし、最後には合意文書の採択を行う予定だという。
第4回 アジアDMEカンファレンス 北九州産学連携フェア 九州DME研究会 など
DMEトラック:九州初見参 排出ガス、大型車で世界一きれい /福岡
次世代クリーンエネルギーの一つとして期待されているDME(ジメチルエタノール)を燃料にした総重量20トンの大型トラックが12日、九州で初めて北九州市役所で公開された。国内外から約200人が出席し、小倉北区の北九州国際会議場で同日開幕した「第4回アジアDME国際会議」の関連イベント。13日には同会議場で公開される。
トラックは国土交通省が交通安全環境研究所(東京)に委託し、日産ディーゼルと共同開発。10年ごろの実用化に向け、長距離公道走行試験を繰り返しており、大型車の排出ガスとしては世界一クリーンという。
DMEは(1)天然ガスや石炭、バイオマスなど、多様な原料から生産できる(2)燃焼時に粒子状物質や硫黄酸化物が発生しない(3)光化学スモッグの原因となる窒素酸化物の排出が少ない――などの利点がある。自動車だけでなく産業、燃料電池など多くの分野で利用可能なエネルギーとして、試験研究や技術開発が進められている。会議では日本や中国、韓国、モスクワのDMEの現況と課題が報告され、13日には各分野での利用事例が発表される。【木村雄峰】
福岡県/環境に優しい次世代燃料使用
DME車両を公開 北九州市役所 国際会議に合わせ/北九州
次世代のクリーンエネルギーとして注目されるDME(ジメチルエーテル)を燃料にした「DMEトラック」(二十トン)が十二日、小倉北区城内の北九州市役所玄関前で公開された。
同日、北九州国際会議場で始まった「アジアDME国際会議」(日本DMEフォーラム主催)に合わせて公開。DMEは天然ガスやバイオマスなどの原料から生産された燃料で、燃焼時にすすが発生しないなど環境性能に優れる。国土交通省はDME自動車の実用化に向けて走行試験に取り組み、二〇一〇年ごろの市場導入を目指す。
十二日は白い布を排気管にあて、トラックのエンジンを吹かすデモンストレーションを実施。ディーゼル油を使った場合はすすで布が黒ずんだが、DME燃料ではすすが付着せず、クリーンな燃料をアピールした。
同国際会議は十四日まで。アジア各国の研究者や企業関係者らが参加してDMEに関する研究成果の発表や、パネル討論がある。DMEトラックは十三日、北九州国際会議場中庭に展示される。
九州経済=北九州学術研究都市で産学連携フェア開催へ
北九州市若松区の北九州学術研究都市で、31日から11月2日まで「産学連携フェア」が開かれる。学研都市の大学や企業など60団体が研究成果を披露し、33のセミナー・シンポジウムが開かれる。
北九州産業学術推進機構(FAIS)などが主催し、今年で7回目。31日午後1時から、オムロン相談役の立石信雄氏が「変革の時代の企業経営」と題し講演。このほかジメチルエーテル(DME)を燃料にした自動車の展示や、大学研究室の見学ツアーもある。問い合わせはFAIS産学連携センター=093(695)3006。
FAIS、31日から産学フェア
北九州産業学術推進機構(FAIS、北九州市若松区)は31日―11月2日の3日間、北九州市若松区ひびきのの北九州学術研究都市で「第7回産学連携フェア」を開く。地域の大学・企業の研究成果や活動内容を紹介して、地域クラスターの形成につなげる目的。北九州学術研究都市産学連携フェア実行委員会が共催する。同フェアは33のセミナーおよびシンポジウム、また60機関・104小間が出展する展示会を実施。日産ディーゼル工業社製ジメチルエーテル(DME)自動車の九州初展示などもある。11月1日には同時開催として九州地域クラスター合同成果発表会も開く。時間は13―19時。
DME 研究関連ニュース
エネ総工研がRPSの見通し解説 月例研究会で新合成燃料紹介も
エネルギー総合工学研究所(秋山守理事長)は26日、都内で第261回月例研究会を開催した。今月は日本のRPS法(新エネルギー利用特別措置法)制度と、バイオマスや既存の各種燃料を合成した液体燃料についてそれぞれの研究者が講演。制度と技術の両面から再生可能エネ、新燃料の動向を整理した。
研究会ではまず東京大学大学院の浅野浩志教授が「RPS下における再生可能エネルギーの普及見通し」と題して講演した。浅野教授は2011~14年度までのRPS義務を仮定し、再生可能エネルギー電源の内訳や取引価格、調達費用を分析した結果を紹介した。
続いてエネ総工研の小野崎正樹副主席研究員が「バイオマス・天然ガス・石炭などから製造する合成液体燃料の将来動向」をテーマに講演。小野崎氏は昨年政府が掲げた「2030年までに石油依存度を現状のほぼ100%から80%まで減らす」との目標を踏まえ、GTL(ガスツーリキッド)、メタノールおよびDME(ジメチルエーテル)、直接石炭液化などの合成燃料について、現在の開発状況とその意義を解説した。
エルピーガス振興センター、第17回研究成果発表会を開催
財団法人エルピーガス振興センターはこのほど、東京・虎ノ門の発明会館で第17回研究成果発表会を開催した。同センターの研究員らが世界の液化石油ガス(LPG)供給動向などの調査結果を披露、参加した業界関係者ら約150人が熱心に聞き入っていた。
発表会の冒頭、あいさつに立った加藤徳生理事長(コスモ石油ガス社長)は「全地球規模の温暖化対策と、社会、経済発展との調和を図りながら供給していかなければならない」とLPG供給事業の使命について言及。「クリーンで分散型の災害対応に優れたエネルギーとして時代にマッチしたやり方を模索する必要がある」などと訴えた。
成果発表は、南米や北アフリカ、中国の需要動向や開発状況、輸出可能性などを調査した「石油ガス開発等供給多様化調査」と、「DME燃料実用化普及促進研究」の2テーマ。また、酒井啓子・東京外国語大学大学院地域文化研究科教授が「イラクと中東、そして国際社会の今後について」と題して講演、米国の対イラク政策や中東各地でのイスラーム勢力の台頭などを解説した。
DME 利用技術 関連ニュース
特許Up To Date=いすゞ、ディーゼル技術に強み
「日米欧でディーゼル車の排ガス規制強化が敷かれる。CO2(二酸化炭素)排出量が少なくブームとなる?」
ディーゼルエンジンビスを本格化するいすゞ自動車(7202)。
世界戦略車の小型トラック「エルフ」、中型トラック「フォワード」など海外トラック事業と欧州車・建機向けディーゼルエンジン事業が両輪。
高・低圧段ターボチャージャを備えたディーゼルエンジン2段式過給システム<19-205265>、
NOx(窒素酸化物)、すすの排出を低減させるディーゼルエンジン制御装置<19-162544>、
触媒を用いた連続再生式DPF(ディーゼル・パーティクル・フィルター)を備えたディーゼルエンジンの排気浄化装置<19-113434>をそろえる。
トヨタの欧州市場のディーゼル車比率は約40%。今後、トヨタと排気量1600cc前後のディーゼルエンジンを年産15万~20万基程度投入するとみられる。
DME(ジメチルエーテル)搭載車両<19-263064>、
車両の減速制動時に制動力を増大、エンジンの駆動エネルギーを最大限に活用するエネルギー回生装置<19-274873>と環境一直線。
底流に日野自動車との統合計画も見え隠れする。(谷洸武)
<>内の数字は特許公開番号。年度―公開番号DME散水車の実車走行試験国交省が開始
DME散水車の実車走行試験国交省が開始
国土交通省は今月から、環境にやさしい交通や物流を目指す次世代低公害車プロジェクトの一つとして、石油代替燃料のジメチルエーテル(DME)をエネルギー源にする散水車の実車走行試験を開始した。
DMEは圧縮天然ガス(CNG)に似た性質を持つ石油代替燃料の1つで、天然ガスや炭層ガス、バイオマスといったさまざまな炭素資源からの製造が可能。従来のディーゼルエンジンのウイークポイントだった黒煙が全く出ないのが特徴で、このため排気ガスから粒子状物質(PM)を取り除く除去装置は不要。併せて、二酸化炭素(CO 2)や窒素酸化物(NO X)も抑制できる。燃料供給施設に既存のLPGスタンドを利用できるのも、インフラ面での大きなメリットだ。
試作されたDME散水車は全長7・98メートルで、車両総重量1・6トン。エンジンは6925ccで、荷台に7600リットルの水タンクを装着している。
公道走行テストは今年3月に続いて2回目で、期間は本年度末まで。長期のテストは今回が初めてで、同省自動車交通局は散水車を関東地方整備局横浜国道事務所に配備して使い勝手などを見極める。
京大など技術開発、河川の汚泥から、PCB99%除去。
京都大学と電力中央研究所のチームは十二日、都市河川の汚泥に含まれる有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)のほぼすべてを簡単に除去する基礎技術を開発した、と発表した。原理上は数分間の処理で済み、ダイオキシン類も九割近く取り除ける。有害物質の分解技術と組み合わせ、二年後の実用化を目指す。
実験では、水分や油分を吸い取る作用がある「液化ジメチルエーテル」(DME)という溶液に、汚泥一グラムを混ぜた。その結果、汚泥に含まれているPCBが溶液に移り、溶液だけを分離して回収することで、九九・一%除去できたという。PCBは河川や湖沼に蓄積して問題になっている。
河川汚泥の含有PCB、簡単に99%除去
京大と電中研、2年後実用化へ。
京都大学と電力中央研究所のチームは12日、都市河川の汚泥に含まれる有害なPCB(ポリ塩化ビフェニール)の99%を簡単に除去する基礎技術を開発したと発表した。水分や油分を吸い取る特別な溶液に汚泥を混ぜ、有害物質だけを回収する。原理上は数分の反応で済み、ダイオキシン類も九割近く取り除くという。有害物質の分解技術と組み合わせ、二年後の実用化を目指す。
新技術はPCBなどを含む汚泥を液化ジメチルエーテル(DME)と呼ぶ有機溶媒に混ぜる。
DMEに石炭を浸すと燃えやすくなることから、水分を除く作用が注目されていた。研究チームは汚泥中のPCBやダイオキシン類、水もDME中に溶け出すと判断。1グラムの汚染汚泥をDMEと混ぜる実験で、PCBを99.1%の効率で分離することに成功した。
実験は一グラムの汚泥を処理するのに数時間かかった。1で3トン規模の処理が可能な技術の開発を試みる。かつて絶縁油などに使ったPCBは発がん性が見つかり、1970年代に製造や輸入が原則禁止になった。不法投棄などで漏れ出した一部が、河川や湖沼に蓄積して問題になっている。
液化DME使い、PCB抽出成功
河川汚泥無害化に期待 京大など /京都府
京都大などの研究グループが12日、安全性が比較的高いとされる液化ジメチルエーテル(液化DME)を溶媒に使って、汚泥の中に濃縮されている有害物質、ポリ塩化ビフェニール(PCB)を抽出することに成功したと発表した。河川の底などに蓄積されているPCBなどを除去する新たな方法として注目されそうだ。
発表したのは京大大学院工学研究科の高岡昌輝准教授(環境工学)らと電力中央研究所エネルギー技術研究所(神奈川県横須賀市)のグループ。17日に山口大である土木学会主催の環境工学研究フォーラムで報告する。
高岡准教授らによると、PCBを含んだ汚泥と液化DMEを混ぜるとPCBや水分が液化DMEに抽出され、汚泥を無害化して分離することができる。DMEは繰り返し使える利点があり、実験では最大99・1%のPCBの抽出に成功。ダイオキシンも約9割を抽出できたという。液化DMEを使った際のPCBの抽出率は従来の方法とほぼ同じだが、これまで使われていたアセトンやアルコール類などの有機溶媒は人体や環境に有害であるうえ、処理後も汚泥の中などに残ることがあったという。高岡准教授は「ここまで高い率でPCBが抽出できるとは思わなかった。抽出したPCBの分解や無害化が、今後の課題になる」と話す。
PCB:ヘドロから除去、液化DME利用--京大など
有害物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)を含んだヘドロを、液化したジメチルエーテル(DME)で洗うと、PCBをほぼ完全に除去できることが京都大と財団法人電力中央研究所(東京都)の実験で分かった。非加熱で処理でき、必要なエネルギーも少なくて済むのが特長。16日から山口大で開かれる土木学会第44回環境工学研究フォーラムで成果を発表する。【武井澄人】
有害物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)を含んだヘドロを、液化したジメチルエーテル(DME)で洗うと、PCBをほぼ完全に除去できることが京都大と財団法人電力中央研究所(東京都)の実験で分かった。非加熱で処理でき、必要なエネルギーも少なくて済むのが特長。16日から山口大で開かれる土木学会第44回環境工学研究フォーラムで成果を発表する。
DMEは人体などに無害で、常温・常圧では気体だが、加圧して液体になると水分を吸収する性質がある。この特性を利用し、河川から採取したヘドロ1グラムを液化DME180ミリリットルで36分間洗浄した結果、PCBは最大99・1%、水分は同96・6%を除去できた。
ヘドロから有害物質を除去する技術としては、アセトンなどの有機溶媒を使う方法が既に確立されている。しかし、処理後の土壌に残った溶媒の再処理が必要になるなど効率が悪い。
一方、DMEは次世代燃料として利用が進んでおり、安全性や安定供給の面でも有望視されているという。
研究グループの高岡昌輝・京都大准教授(環境工学)は「洗浄後、気化するDMEの再利用法を確立すれば、無害化処理のシステムとして実用化できる」と話している。
ヘドロからPCB99%除去に成功 京大、次世代燃料を利用
京都大学大学院工学研究科の高岡昌輝准教授(環境工学)らの研究グループが12日、川底に堆積(たいせき)した有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含むヘドロから、吸水性の高い化学物質を使ってPCBを99%取り除くことに成功したと発表した。発がん性が指摘されるダイオキシンも約90%を除去することができたという。
液化石油ガス(LPG)に代わる次世代燃料としても注目されている液化ジメチルエーテル(液化DME)という吸水性の高い物質を利用し、電力中央研究所(神奈川県)と共同で実験。大阪府内の河川で採取したヘドロを処理装置に入れ、液化DMEを注入し、ヘドロから水分とともにPCBを洗い落とした結果、99・1%を除去できた。PCBは国際条約で2028年までに全廃が決まっているが、変圧器などに用いられ、都市部の河川には環境基準を超える場所があるとみられる。PCBを含んだヘドロは、コンクリートで固めるなどの暫定的な方法で処理されるが、今回の方法ではPCBをほぼ完全に除去でき、恒久対策も可能になるという。
燃料のジメチルエーテル、排熱で改質、発電能力向上、東芝・関西電が新技術
東芝と関西電力は火力発電設備のガスタービンから出る排熱を使ってジメチルエーテル(DME)を改質し、発電能力を高める技術を開発した。「化学再生」と呼ぶ手法で、実験で発電効率が従来に比べて一―二割上がることを確かめた。DMEは環境負荷の少ない燃料として期待されており、将来の普及を見据えて新技術の実用化を図る考えだ。
ガスタービンは圧縮した空気を送り込んで燃料を燃やし、タービンを回して発電する仕組みになっている。
東芝と関電は今回、三十キロワットの小型ガスタービンで実験した。これまで無駄にしていた排熱を使い、改質器で燃料として使うDMEを水蒸気と混合し、水素を多く含むガスに転換する実験に成功した。実験室段階の規模だが、DMEの化学再生ができることを確認したのは初めてと説明している。
DMEは天然ガスなどに比べて低い温度で改質しやすい特性を持つ。ガスタービンから出るセ氏五百五十度ほどの熱でもDMEを改質できる。
通常のガスタービンの発電効率は三五%以下。排熱を利用して水蒸気を作り、燃料と共に燃やす「蒸気噴射サイクル」という手法もあるが、このシステムも発電効率は三九%程度にとどまる。新手法を利用すれば、これが四三%台に上がる。
排気に含まれる窒素酸化物(NOx)濃度も一〇PPM(PPMは百万分の一)以下に減らし、脱硝装置が不要な水準を達成した。環境負荷の少ないシステムとして、工場などで使う発電能力が数メガ(メガは百万)ワットの設備への適用を見込んでいる。
経済産業省の研究開発事業として開発した。
▼ジメチルエーテル(DME) 天然ガスや石炭、バイオマス(生物資源)から合成される燃料。ススや硫黄酸化物(SOx)を出さず環境負荷が少ないのが特徴で、発電のほか、自動車のディーゼルエンジン向けの利用などが見込まれている。
エヌ・ケイ・ケイが商品化 脱代替フロン ほこり飛ばし
パソコンやデジカメなどのほこりをスプレーで飛ばすダストブロワーの需要が拡大している。昨年度は国内で650万本が製造されたが、その9割以上は代替フロンガスを噴射するタイプ。しかし、代替フロンは温室効果に強い影響を持つため、ブロワー製造大手、エヌ・ケイ・ケイ(兵庫県姫路市)は“脱代替フロン”に取り組み商品化に成功した。今月中にも量産に乗り出す。 (小林宏之)
ダストブロワーは、昭和40年に輸入品が登場。当初、噴射剤として特定フロンが充填(じゅうてん)されていたが、オゾン層への悪影響が判明し、規制強化された。現在はオゾン層を破壊しない代替フロンが主流になっている。しかし、代替フロンの地球温暖化に及ぼす影響は「炭酸ガスの140~1300倍」(経済産業省)という。同社は温暖化への影響がほとんどないようにと、高圧ガスのDME(ジメチルエーテル)と、炭酸ガスを混合した噴射剤の製品化に取り組んだ。ただし、DMEは可燃性のため、液化したガスを外へ漏らさないように特殊な吸収体を開発。これを缶内部に装着し、引火を防止する構造とした。
この吸収体生産工場を本社敷地内に設け、量産体制を整備。現在は国内シェアの2~3%にとどまるが、来年度中に自社製ブロワーをすべてDMEに切り替える。
環境省は、環境に配慮した製品の普及を促すグリーン購入法の商品選択指針となる「判断基準」で特定フロンタイプを排除し、一部の代替フロンタイプを容認。努力目標の「配慮事項」で、代替フロン不使用タイプを奨励しているが、これを判断基準に格上げすることを検討している。
同社は同法改正が脱代替フロン普及の後押しとなることを期待している。
ナカバヤシ
エアダスター全製品をDMEガス(ノンフロン)使用に切り替え
配信日時:2007/09/27 11:15 発表日:2007年9月27日
地球温暖化係数が極めて低いDMEガスを使用
ナカバヤシ エアダスター全製品をノンフロンに
ナカバヤシ株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:中林五十一)は、地球温暖化防止への取り組みとして、今年度中にすべてのエアダスター製品を温暖化係数が極めて低いDMEガス(ノンフロン)使用の製品に切り替えます。今回の切り替えにより、2008年度以降は、CO2換算で年間約10,000t以上の削減をめざします。
本年6月に、地球温暖化係数が1以下のノンフロンエアダスター「Digio(R) ノンフロンエアダスター DGC-JB9」を発売しました。地球環境への負荷低減のため、現在発売中のその他のエアダスターについても、代替フロンガスHFC-152a(地球温暖化係数140)から温暖化係数の低いDMEガス(温暖化係数0.2)ベースの製品に切り替えを進めます。また、OEM商品についても供給先と協議を進めており、順次切り替える方針です。
当社はチームマイナス6%に賛同し、エアダスター製品で代替フロンHFC-152aの使用をやめ、安全性を確保しつつユーザーにも広く理解を呼びかけ、地球温暖化防止に貢献したいと考えています。
[商品特徴]
- 地球温暖化係数が限りなくゼロに近いDME(ノンフロン)ガス使用の製品です
- 可燃性を従来品並みに低減しました
- グリーン購入法適合商品です
[実施時期]
順次切替え、但し今年度中に完了予定。
[対象商品]
| Digio(R) エアダスター | DGC-JB9 |
〃 |
DGC-JB8 |
〃 |
DGC-JB6 |
ヤマト 隙間のホコリを空気噴射で除去する
「エアーシャワー ノンフロン」を発売
発表日:2007年7月30日
「エアーシャワー ノンフロン」新発売
~地球環境にやさしいノンフロンガスのエアーブロアー、隙間のホコリをシュッと一掃~
ヤマト株式会社(本社:東京都中央区 社長:長谷川 豊)は、「エアーシャワー ノンフロン」の出荷を7月下旬より開始しました。全国有名文具店、百貨店、量販店等にて随時販売を行います。
「エアーシャワー ノンフロン」は、各種OA機器、AV機器、サッシ等の手が届かない隙間のホコリを空気の噴射で除去する、次世代エアーブロアーです。主成分には、地球温暖化に影響を与えるフロンガスを一切使わず、DME*1 とCO2を配合したノンフロンガスを採用し、温暖化をもたらす影響の程度を示す数値とされる『地球温暖化係数*2 』を1以下としました。また、グリーン購入法判断基準にも適合した環境にやさしい商品です。さらに、本体は、逆さに使用しても液漏れの心配がなく安心して利用できる他、付属のチューブを本体に取り付ければ、狭い隙間のホコリの除去が可能で、パソコンのキーボードやエアコンのフィルターの手入れ等、オフィスやご家庭の様々な場面でご利用いただける利便性の高い商品です。
尚、商品の詳細は別紙の通りです。
【別 紙】
- ■商品名:「エアーシャワー ノンフロン」
- ■商品特長:
- 地球環境にやさしいノンフロンガス使用
- 逆さに使用しても液漏れしない
- グリーン購入法適合商品
- ■用途:PC周辺機器、AV機器、デジカメ、サッシ等のホコリ除去
- ■主成分:DME*1 、CO2
- ■内容量:350ml
- ■付属品:チューブ
- ■サイズ:サイズ:直径68mm×高さ218mm
- ■メーカー希望小売価格(本体価格):オープン
※可燃性のため火気厳禁
*1 DME(ジメチルエーテル)
エアゾール噴射剤用として開発されたガス。近年では、クリーンガス燃料として石油にかわる新エネルギーとして注目されている。
*2 地球温暖化係数
二酸化炭素を基準(=1)とした時の各物質の温暖化をもたらす程度を示す数値のこと<
<参考> 温暖化係数:ノンフロンガス 0.2
HFC*-152a(ハイドロフルオロカーボン) 140
*HFCは代替フロンです。
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東工大など、メタノール、太陽熱使い生産、石炭・ガス原料に。
東京工業大学はオーストラリアの連邦科学産業研究機構と共同で、太陽熱を利用し、石炭や天然ガスを原料にメタノールなどを生産する技術を開発する。石炭をそのまま燃やすよりも排出する二酸化炭素(CO2)を一五%減らせるという。実用化に必要な基礎技術を三年程度で確立する。
雨がほとんど降らない砂漠で太陽光を活用する狙い。まず太陽熱でナトリウムやカリウムの溶融塩を暖めて蓄熱し、熱で蒸気を作り発電。その電気で水を分解、水素と酸素を石炭と反応させてメタノールやDME(ジメチルエーテル)を合成する。石炭をそのまま燃やした場合よりも一五%程度高いエネルギーが得られ、CO2削減に結びつくという。
現在、太陽熱発電は砂漠などでは一キロワット時当たり十三円程度。東工大炭素循環エネルギー研究センターの玉浦裕教授らは十円程度に引き下げるため発電設備を安定的に運転できる基礎技術を開発中だ。将来的には電気分解ではなく集光して得た熱を直接利用できる反応装置も開発する考え。
共同研究は米国が中心になり日本やオーストラリアなど六カ国が参加する「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」に基づくもの。東工大と豪・科学産業機構はこのほど共同研究の協定を結んだ。
国内 DME 生産関連ニュース
電中研エネルギー技術研究所
石炭を有効利用、ガス化で発電効率高める。
石炭の有効利用が差し迫った課題になってきた。大量の二酸化炭素(CO2)を排出する燃料というマイナス面があるものの、石炭火力発電は現在、国内の電力需要の四分の一をまかなう。原子力発電所の稼働率低迷もあって存在感は増している。電力中央研究所のエネルギー技術研究所は、CO2の排出量を抑えて効率よく燃やす技術開発で成果をあげている。
神奈川県の三浦半島。相模湾沿いに車を走らせると、発電所や工場のような大型の設備が視界に飛び込んでくる。東京ドーム四個分の面積を持つ電力中央研究所の施設だ。巨大電流を作り出す装置など大掛かりな実験施設が立ち並び、電力に関連する様々な研究が進められている。
電中研は二〇〇四年に研究部門の再編を実施した。このときに発足したのがエネルギー技術研究所だ。機械や化学などを専門にする約六十人の研究者を抱え、化石燃料やバイオマス(生物資源)などエネルギー資源を効率利用する技術の開発に取り組んでいる。
なかでも力を入れるのが石炭に関する研究だ。十八世紀の産業革命のころから利用されてきた歴史のある燃料だが、実は今も利用技術の向上が進んでいる。その一つが発電効率を高めるガス化技術だ。
通常、石炭は四十マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルほどの微粉炭にして燃やしている。発電効率は四〇%程度だが、これをガスにしてタービンを回す複合発電方式にすると四六―四八%になる。燃焼時に出る石炭灰をガラス状にして取り出せるほか、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の排出が減るメリットもある。
セ氏千八百度という超高温で石炭を燃焼させた後、さらに微粉炭を投入、二段階でガスに転換する。沖裕壮上席研究員らは、ガス化炉設計、運転にかかわる基本技術の確立を進めてきた。実用化に向けて今後、運転コストの低減などが求められる。
中国など発展途上国の台頭も石炭の効率利用を促している。石油や天然ガスに比べて埋蔵量が豊富な石炭だが、世界的なエネルギー需要の拡大を受けて徐々に高品位のものを入手するのが難しくなってきた。歴青炭と呼ぶ燃焼効率の高い石炭が減り、水分の多い亜歴青炭などを使用するケースが増えているという。
牧野尚夫上席研究員らが挑むのが、低品位の石炭から水分を抜き取り、燃えやすくする技術の開発だ。歴青炭の含水率は一〇%以下だが、亜歴青炭は二〇―四〇%程度。従来、セ氏百度以上に加熱して脱水していたが、牧野氏らは液化したジメチルエーテル(DME)を使い、低エネルギーで石炭中の水分を分離・吸収する工程を目指している。
液化DMEに水が溶け込む作用を利用し、五〇%を超す低品位の石炭の含水率を四%まで下げることに成功した。「液化DMEと石炭の接触の仕方を工夫するなどして実用化に近づけたい」(牧野氏)考えだ。
燃焼時に発生する石炭灰の品質を高める研究にも取り組んでいる。石炭を燃やすときの空気の送り方などを工夫、灰に含まれる未燃分とNOx濃度の低減に成功した。「未燃分を減らせば、セメントの原料として価値の向上も見込める」と白井裕三上席研究員は狙いを語る。
CO2の排出にみられるように、石炭には環境負荷が大きいという印象がつきまとう。阿部俊夫所長も「一般的な石炭のイメージは決してよくはない」と苦笑する。環境への貢献は、エネルギー技術研究所にとって最も重要なテーマ。阿部所長は「今後はCO2の分離・回収技術の開発にも取り組んでいきたい」と意気込んでいる。(生川暁)
ガスの新しい流れ(上)建設相次ぐ国内実証プラント
天然ガスは世界的にまだパイプラインが中心だが、液化して長距離輸送する液化天然ガス(LNG)も世界的な市場の広がりを見せている。このガス流通チェーンで、LNGより安価な新しいシステムが日本発で実用化に向かおうとしている。またクリーン燃料のガスを液化するガス・ツー・リキッド(GTL)ではカタールで2基目の商業プラント建設が始まろうとする中、日本では連合で独自のシステム実証に動く。同じガスの液化プロセスのジメチルエーテル(DME)も中国が燃料で商業化に先陣を切り、日本も実用プラントが建設に入る。ガスの新しい技術の流れが、ガスの需要を喚起していく。
【日産5トン】
天然ガスをシャーベット状にハイドレート化し、トラックなどで輸送する天然ガスハイドレート(NGH)輸送システムで三井造船は、中国電力と共同で08年5月の完成を目指し、中国電管内に日産5トンのパイロットプラントの建設に入った。マイナス20度Cで輸送・貯蔵できるNGHはLNG輸送と比べるとトータルで30%程度安価なガス流通チェーンを構築することが可能。
08年にはカナダで国際ガスハイドレート会議が開かれる予定で、資源、化学、エンジニアリング企業が参加する。このNGHの輸送システム実用化で最も先陣にいるのが三井造だ。千葉での2段階に渡る連続生産プラントで井戸元からの天然ガスをハイドレート化し、不純物が入ると成分が変わるという問題を解決した。
【共同で戦略企業】
これを踏まえ、中国電と一緒に生産プラントを設置。できたNGHは50キロメートル離れた研究所と広島ガス社宅へ供給し、発電と一般家庭へのガスとして利用する。
NGHの実用化に向け、三井造は三井物産と共同で戦略企業のNGHジャパン(東京都中央区)を設立。市場調査からパイロットプラントの建設、商業化に向けて乗り出す。
東南アジアを候補に1日100―200トンのプラントを建設。実験船で日本へパイロット輸送する。完成は2012年を目指す。船は液化石油ガス(LPG)船より簡単に建造できる。安全性はLNGと比べて一ケタ違う低さであり、海外はガス輸送の安全にナーバスなことから、陸上輸送での関心が高まる。
GTLでは新日本石油、千代田化工建設、新日本製鉄が核となって石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も加わり、二酸化炭素(CO2)リッチなガス田でも実用化できる日本発のGTLプラントの実証に乗り出す。世界で英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが大型プラントの建設に入る中、特許に縛られず日本技術で商業化を目指す事業だ。GTLでカギとなる合成ガス製造でシェルは固定床を採用。世界初の本格商業プラントを完成させた南アフリカ共和国のサソールはスラリー床だ。
【世界で3番目】
日本プロジェクトもスラリー床で、日量500バレルのプラントを08年中に完成。ガス化工程と合成ガスを液化する工程での触媒、そして油のアップグレードがキーとなる。「技術的に最高レベルのシステムを作り上げる」(JOGMEC)と、2年間のデモ運転を通して灯・軽油70%という収率を安定して実現。世界で3番目の商業化を2010年以降には決めたいともくろむ。
一方、GTLより製法が簡単なDMEは、燃料用として三菱ガス化学、伊藤忠商事を核に三菱重工業、日揮なども加わった燃料DME製造(新潟市)が08年6月完成を目指し年産8万―10万トンのプラント建設に入った。セタン価が高くばいじんがないDMEは、性状が同じLPGより安価となるのが普及への条件だ。これらの相次ぐ日本での実証プラント建設が、環境に対応したガスの新たな流通システムを作り上げていく。
ガスの新しい流れ(下)新燃料の行方
【1000万トンへ】
ジメチルエーテル(DME)は燃料油として中国で2013年にも1000万トンへ大きく拡充する計画が上がる。「本当か!」ともいうべき大規模な実用化計画だが、中国政府はDMEを石炭ガス化の延長として国家のエネルギー戦略の柱にしていこうと、11次5カ年計画から明確に位置付ける。液化石油ガス(LPG)の代替として業務用から自動車用まで、需要は問題ない。課題は製造技術とコストだ。
中国のDME製造プラントは東洋エンジニアリング(TEC)がメタノールからの二つのプラントが稼働。石炭ガスからの14万トンと21万トンのプラントが年末に動きだす段階だが、さらに石炭原料のプラント計画が内蒙古や山西省などで浮上してきている。国家発展改革委員会は100万トン規模のDMEプラントの立地を画策。今年半ばには認可に向かう事業が出てきそう。石炭ガス化で1日2000トン級プラントとの組み合わせだ。
DMEは中国ではLPGとの混合燃料として、ディーゼル油の代替で北京オリンピック時に数十台、上海万博では1000台のバスを走らせる予定。石炭のクリーン燃料利用の一環として、石炭液化とともに柱となる。中国石油は内蒙古で300万トンのプラント建設計画を公表。内蒙古と寧夏自治区では六つのプラント計画が上がる。LPG・ガス事業の新奧集団もメタノールからの10万―20万トンのプラント4基を沿岸部で計画する。
【浸透余地大きい】
米が石炭ガス化複合発電に向かう中、中国は石炭を液化、DMEとメタノールを目指す。TECはこれまでの実績をベースに、100万トン級石炭ガス化DMEでガス化技術にシェル法などを導入して受注を目指している。内蒙古からDMEを沿岸部へパイプライン輸送する計画も持ち上がる。中国は1800万トンのLPG需要のうち600万トンを輸入しており、その代替としてもDMEが浸透していく余地は大きい。
日本のDME実用プラントの動きは、直接法で実用化を目指したJFEホールディングスグループがほぼ断念。新潟で三菱ガス化学などが建設するメタノールから脱水して製造するプラント1基だけとなった。従来のエアゾール用と燃料用での併産だが、このプラントを弾みに海外で中小ガス田をターゲットに、まずパプアニューギニアでのメタノールプラントに併設で事業化を狙う。また三菱化学はエチレン、プロピレンにスイングできる化学原料での利用も進める。ばいじんが出ないディーゼル油代替として、参加する企業がLPG転換で市場をどう構築していくかの時期にきている。
【下水汚泥から】
バイオマスのガス化では国の温暖化政策もからんで、熱と電気のオンサイト利用としてガス業界が導入に力を入れる。ターゲットは全国に1600カ所ある下水処理場。現在、汚泥から消化ガスを取り出す装置が300カ所に付き、うち26カ所で発電まで行う。全国のガス企業が地域密着で取り込めるコジェネレーション(熱電併給)として、下水汚泥を部分的にガス化し、熱と電気を利用。バイオガスの買い取りというメニューも検討に入っている。
東京都周辺エリアの自治体は汚泥焼却プラントの燃料に都市ガスを利用している所が多く、部分燃焼ガス化技術で補助燃料にガスを使うシステムでの実用化を目指している。部分燃焼ガス化技術を持つのは荏原とタクマ。実証プラントを終え実用化段階にきている。ガス化炉で無酸素状態でガス化し、揮発性の有価ガスを高濃度で回収する。冷ガス効率は高い。
発熱量が低いため都市ガスへは利用できないが、熱はオンサイトで活用、都市ガスと混ぜ発電し、売電もできる。日本ガス協会も立地を推進、汚泥焼却炉の更新時などでの立地を目指している。(編集委員・駒橋徐)
メタノール、ジリ高、中国向け300ドル超え(化学品市況)
メタノールは、スポット市況が緩やかに上昇してきた。6月下旬の欧米市況の小幅反転から値動きが止まっていたが、8月後半に欧米スポットが1トン320ドル前後を付けるなど急上昇。アジアもジメチルエーテル(DME)需要などが伸びている中国輸入価格がCFR300ドル超えを付け、これに引きずられて東南アジア・台湾なども上がってきた。しばらくジリ高推移が続きそうだ。
メタノールは今春、世界規模でスポット市況が急速に軟化。これを受けて、価格指標となるメタネックスの地域向け契約公示価格(米国=MNDRP、欧州=EPCP、アジア=APCP)は4月時点で前月比170~180ドル幅で急落し、アジア向けは3月比170ドル下げの1トン320ドルとなった。
その後、アジアスポットは一時250ドル割れに落ち込むなど低迷が続いたが、6月下旬に中東や南米プラントの定修・減産などでやや反発、アジアスポットも10~20ドル程度上昇した。この時点で底打ち感もあったが、夏場の値動きはほとんどなく、メタネックスAPCPも4~6月320ドル、7~8月285ドルが提示されていた。
しかし、8月後半には欧米スポットが320ドル前後まで上がり、アジアでもここにきて中国輸入価格が300ドル超えを付けるなど再び値動きがでてきた。メタネックス公示価格も、9月分では米国向け319ドル(前月比10ドル上げ)、アジア向け300ドル(同15ドル上げ)を提示した。
このうち、欧米の急上昇は6月下旬にフォースマジュール(不可抗力)停止に入った米セラニーズの大型酢酸プラント(年産120万トン)の稼働再開やアルゼンチンの冬場のガス田不調によるメタネックスの南米複数プラントの減産長期化、ロシア複数プラントの定修などが原因。
一方、中国ではDME需要の増大や大雨による国内輸送の減少、長江・武漢周辺でのメタノール運搬船の爆発事故などで輸入価格が上昇。とくにDME向け需要は政府の積極導入策もあり、年初の20万~30万トン需要が年末には140万~150万トンまで拡大する。中東ではサウジアラビアでアル・ラジ1号機(年産70万トン)の定修立ち上げがずれ込んでいるという。
現状、中国市況の上昇は東南アジア・台湾に波及しつつある。韓国の値動きはまだ鈍いが、中国向け輸出が強まれば韓国も上がることになる。東南アジアなどは現状270~280ドル圏だが、当面はジリ高ペースで300ドルラインを目指すことになりそうだ。
三菱ガス化学、天然ガス系化学品07年度目標、売上高1528億円
三菱ガス化学は多価アルコール(ポリオール)やアミンなど「メタノール誘導品の基盤強化をテコに事業を拡大」(上石邦明取締役常務執行役員・天然ガス系化学品カンパニープレジデント)、天然ガス系化学品事業で今期、売上高1528億円、営業利益24億円を目指す。昨年来、高騰を続けたメタノールは「現在、1トン当たり300ドル前後まで下落し誘導品には好水準。収益は好調に推移する」(同)見通しで、一方で今月には需要旺盛な中国でアミン設備が完成、収益に大きく寄与する。国内でも来年初には誘導品設備が完工、事業拡大が期待できる。苦戦が続くコエンザイムQ10についても「他社に負けないコスト競争力と差別化製品投入で巻き返しを図っていく」(同)考え。
前期(06年度)の天然ガス系化学品事業は売上高1442億円(05年度比15・8%増)、営業利益25億円(同53・7%減)となり、中計初年度は増収減益となった。高値を続けたメタノールが年初に一時500ドル/トンを突破、メタノール事業の収益を上げる一方で誘導品の採算を圧迫、定修などもあって利益を押し下げた格好だ。コエンザイムQ10など酵素・補酵素類も中国品の安値攻勢などで減益となった。
今期についても増収の構え。他プラント稼働でメタノール市況が緩むためで、誘導品は利益回復を期待、全体ではやや微減の営業利益だが増益に可能性を残す。9月には中国合弁でのジメチルホルムアミド(DMF、年産4万トン)とジメチルアセトアミド(DMAC、同1万トン)の新設が完成、「稼働する11月以降、販売増に寄与する」(同)。
今後も粉体塗料用に好調なネオペンチルグリコール(NPG)が近く水島工場で年4・5万トンへ増強するほか、来年初には同工場で特殊グレードのスピログリコール(SPG)とジオキサングリコール(DOG)を年産1500トン併産する新規設備が完成、年末には特殊アミノ酸の新設などもあり目白押し。
他方、「有望な誘導品も芽を出してきた」(同)。トリメチロールプロパン(TMP)の製造時に副生するdi-TMPで、UV硬化型樹脂用途に需要が伸びている。di-TMPについても今後積極的に増強を図る方針だ。
「天然ガス系化学品事業はメタノールを中心に長期的視野に立った投資が必要。今後も先行投資を積極的に推進していく」(同)方針だ。コエンザイムQ10も一貫技術の強みから「競争力に自負がある」(同)。今後、水溶性製品など差別化を進める。また来年にはジメチルエーテル(DME)普及へ向けた合弁設備も完成、商機を期す。
三菱ガス化学、DMEを50円値上げ、11月1日出荷分から
三菱ガス化学は、11月1日出荷分から、ジメチルエーテル(DME)を値上げする。上げ幅は1キログラム当たり50円。
原料のメタノールの価格が、9月入着を底に上昇するのが確実となっている。同社ではメタノール全量を海外からの輸入に依存しているため、このままではコスト上昇が避けられないと判断した。
メタノール、海外下落が国内にも波及(化学品市況)
メタノールは、海外市況の下落が国内にも波及してきた。アジアスポットは春先から軟化し、CFR1トン当たり300ドル割れが続いており、この状況が2~3カ月遅れで通関ベース入着価格にも反映しはじめた。通関価格は国内価格のベースとなるが、1月に500ドル(CIF)を付けていた通関単価は5月分で360ドル、6月は300数ドルまで落ち込んだ。国内では、下げ調整の動きもでている。
メタノールのアジア市況は、昨秋~今春にかけてメタネックスAPCP(アジア向け公示価格)でCFR500ドル前後、実勢ベースで400ドル台後半の高値圏に張り付いていた。しかし高値の長期化を嫌った需要家の買い控えなどで、スポットが春先から軟化局面に入り、この3~4カ月は300ドル割れ水準が続いている。メタネックスAPCPも4月に前月比170ドル下げの320ドルに急落、7~8月は285ドルを提示している。
この状況が、2~3カ月遅れで日本通関価格にも波及しはじめたのが最近の状況。財務省・貿易統計によると、1月の通関単価(中東・中南米・ニュージーランド品など含む)は500ドル(CIF)を付けていたが、5月は360ドル、また6月は300数ドルでほぼ確定したとされる。
とくにメタノールの場合、基本的に通関価格に一定の諸経費分を上乗せして国内価格を設定する方式をとっており、通関単価の落ち込みは国内価格にも反映する。このため、通関価格に海外市況の下落影響が現れはじめたことで、国内価格も下げ局面を迎えることになる。すでに、6月納入分から下げ調整を行う動きもでている模様。
また現状、欧米を含む海外市況はほぼ底を打ったとされる。ただアジアでは、100万トン級のジメチルエーテル(DME)プラント(メタノール使用量140万トン規模)の年内立ち上げが計画されている中国市況にやや強含み感がでているが、大勢は260~270ドルの300ドル割れ水準が続いている。
さらに8月末には、50日の長期定修に入っていたサウジアラビアのアル・ラジ1号機(年産70万トン)も稼働、オマーン・ソファール(同100万トン)の立ち上がりも予定されている。
この意味では、アジア市況は再び軟化する可能性もあり、国内もしばらくは弱含み場面が続きそうだ。
伊藤忠エネクス・小寺明社長(超短波)
▽…ブラジル・サンパウロの空港で起きた航空機事故のニュースを見て、「繊維関係の業務で79年に帰国するまでブラジルに滞在していたのを思い出した」と語るのは伊藤忠エネクスの小寺明社長。石油製品やLPガス販売が主力だがジメチルエーテル(DME)や水素など新エネルギーにも積極的に取り組んでおり、「それ以来一度も訪れていないが、今はエタノールがあるのでそろそろ行ってもいいかな」との希望も。
▽…とはいえ、末端小売価格の上昇が原油高騰分に追いつかない石油販売業界の経営環境は非常に厳しい。「業界全体の構造が大きく変遷するなかで質的な部分での動きが不十分。今後は元売りとの関係を強化するとともに、グローバル経済の恩恵を受けるため輸出の検討もしなければならない」とさらなる成長戦略を描く。
伊藤忠商事/新エネルギー事業強化
伊藤忠商事の金属・エネルギーカンパニーは、5―6年後をめどに新エネルギー・代替エネルギーの連結純利益をカンパニーの5―10%(40億―80億円)に引き上げる計画だ。新エネルギーなどを拡充することで、金属・エネルギー分野で同社の特徴を出していく。金属資源・石炭、エネルギー開発、エネルギートレード、伊藤忠丸紅鉄鋼を中心とした金属トレード、それに新エネルギーの5本柱としたい考え。
2007年度から「太陽電池室」を新設し、取り組みを強化している。太陽光発電は、ポリシリコンからウエハーを生産し、ウエハーからモジュールを製造する結晶系と、ガラス基盤をベースとする薄膜系に大別されるが、市場占有率は、結晶系96%、薄膜系4%。同室は結晶系扱いが主流。機械カンパニーにおいて薄膜系を中心とする取り組みを行っており、全社的に連携を強化することによって、結晶系・薄膜系、また川上から川下まで対応できる。06年度ノルウェーのシリコンインゴット・ウエハー製造メーカーへの出資を、07年度に入り川下分野で米国での投資を実行している。
同時にクリーンエネルギーのDME(ジメチルエーテル)、バイオマス発電、バイオエタノール、排出権取引などにも注力していく。
出光興産、DMEを石化原料に、オレフィンなど高収率
出光興産は、ジメチルエーテル(DME)を原料としてオレフィン、芳香族を生産する独自の製造プロセスを開発した。需要拡大で高騰するナフサを代替する石化原料多様化策の一環。DMEの石化原料化に乗り出すのは国内石油精製業では初めてで、同社では今後、原料DME市況や用途開発の進展具合などをにらみながら実用化を検討する方針だ。
研究開発は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の委託事業として日揮ユニバーサルと共同で実施。期間は05年度からの2カ年で日揮ユニバーサルがゼオライト系新規触媒技術の開発や性能評価を手がけた。製造プロセスの詳細は明らかにされていないが、エチレン、プロピレン、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)などの芳香族を高収率で得られるのが特徴とみられる。反応条件も常圧で400~500度と温和な条件下の製造が可能で「現行ナフサ熱分解と競合できるようなレベル」(同社)に達したと判断した。
合成ガスの石化原料化方法はほかに、合成ガスからフィッシャー・トロプシュ(FT)合成プロセスを経て灯・軽油、ワックスなどを商品化するガスツーリキッド(GTL)製造プロセスがすでに実用化されている。ただ、エクソンモービルやシェル、サソールなどが基本プロセスを確立しているうえ、「オクタン価の低いナフサ、セタン価が高すぎる軽油など現行スペックを満たさない」(同)ため水素化分解など後処理の必要性が生じるという。中国では石炭由来のDME生産が飛躍的に拡大する見込みとなっており、原料供給の安定性といった面からもDMEに優位性を見いだしているとみられる。
DMEは含酸素化合物のため燃焼性に優れ、性状が類似している液化石油ガス(LPG)の既存の輸送・貯蔵設備の転用が可能なことが大きな特徴。化学構造中に炭素同士の結合がないため燃焼過程で粒子状物質(PM)が発生しないのに加え、高セタン価、低NOXと環境性能の高いディーゼル車燃料としての注目も集めている。
原料DMEの製造方法は、メタンや石炭、バイオマスなどから得た合成ガスをメタノール転換して脱水反応させる「間接製造法」と、合成ガスから直接DMEを合成する「直接製造法」の2種類がある。三菱ガス化学など9社は4月、間接製造法でのDME製造を目的とした燃料DME製造を設立。年産8万トンプラントの08年6月稼働開始を目指す一方、出光興産はJFEホールディングスなど10社が出資した北海道での直接合成法実証運転試験に参加していた。
海外 DME 生産関連ニュース
海外プラントただいま商談中
――IHIが大幅損失(10月29日現在・本社調べ)
リスク懸念表面化
IHIがサウジアラビアで手掛けるセメントプラントの採算悪化などを理由に、二〇〇八年三月期の営業損益を五百七十億円下方修正し、百七十億円の営業赤字になると発表した。国内のボイラー生産なども工程の遅れで追加費用が発生した。
中東を中心とするプラント建設ラッシュを受け、〇五年ごろから労働者や資機材確保のリスク増大が指摘されてきたが、その懸念が表に出た。工事環境の厳しさは続いており、IHIに限らず各社はリスク管理体制のさらなる強化が必要だ。
表
| プロジェクト | 商談 状況 |
規 模 (億円) |
企業名 |
|---|---|---|---|
| 【東南アジア・中国・豪州】 | |||
| 原子力発電(広東省など=中国) | ○ | 8,000 | WH―三菱重工―ショー、アレバなど |
| 製油所(マラッカ=マレーシア) | 300; | 千代田化工、日揮ほか | |
| ガス処理(南スマトラ=インドネシア) | ○ | 400 | 千代田化工、テクニップ、現代重工 |
| パラキシレン(シラチャ=タイ) | 400 | 千代田化工、日揮、ベクテル、KBR | |
| 高密度ポリエチレン(マプタプット=タイ) | ○ | 100 | 三井造船、サムスンエンジ |
| メタノール(スンガイ・リアング=ブルネイ) | 300 | 三菱重工 | |
| LNG(バロー島=豪州) | 1,000 | KBR―日揮―クラフ―ハッチ | |
| DME(ダンピア=豪州) | 600 | 三菱重工―日揮 | |
| 肥料(ヤンゴン=ミャンマー) | ○ | 200 | 川崎重工、三菱重工 |
| 【西南アジア】 | |||
| エチレン(バローダ=インド) | ― | 日揮―S&W、東洋エンジ―ABBルーマス | |
| 肥料(ハジラ=インド) | ○ | 200 | 東洋エンジ、三菱重工、スナムプロジェティほか |
| 製油所近代化(バローダ=インド) | 300 | 東洋エンジ、サムスンエンジ、現代建設ほか | |
| LNG受け入れ基地(コチ=インド) | ○ | 700 | IHI―東洋インディア、テクニガス |
| 【中東・アフリカ】 | |||
| エチレンオキサイドなど(ジュベイル=サウジアラビア) | ○ | 600 | 東洋エンジ、CTCI、サムスンエンジ、現代建設 |
| エチレン増強(ラスラファン=カタール) | ○ | ― | 日揮―S&W、テクニップ |
| ガス回収(ハブシャン=UAE) | 250 | 日揮、テクニップ、スナムプロジェティ、千代田化工ほか | |
| ガス処理(アサブ=UAE) | ○ | 700 | ベクテル、日揮、テクニップ、スナムプロジェティ、千代田化工ほか |
| NGL分離(ルワイス=UAE) | 700 | ベクテル、日揮、テクニップ、スナムプロジェティ、千代田化工ほか | |
| LPG増設(ダス島=UAE) | 500 | 日揮、千代田化工、テクニップほか | |
| 海水淡水化(アブダビ=UAE) | ○ | 200 | 日立造船―東レ |
| LNG(アサリューエ=イラン) | 2,000 | 千代田化工―テクニップ | |
| アンモニア・窒素(アサリューエ=イラン) | ○ | 450 | 東洋エンジ、川崎重工、スナムプロジェティ、現代建設 |
| 随伴ガス回収(カーグ島=イラン) | ○ | 800 | 日揮、千代田化工、東洋エンジ、川崎重工 |
| エチレン(バンダルイマム=イラン) | 350 | 三井造船―テクニカス・リユニダス―テクニモント | |
| 製油所(スエズ=エジプト) | 200 | 千代田化工、日揮、東洋エンジ、スナムプロジェティほか | |
| 脱水素化・ポリプロピレン(ポートサイド=エジプト) | ○ | 450 | リンデ、東洋エンジ、ウーデ |
| 肥料(アブキール=エジプト) | ○ | 600 | 東洋エンジ、三菱重工、三井造船、スナムプロジェティ |
| 製油所(アルズール=クウェート) | 6,000 | 日揮、千代田化工、テクニップ、スナムプロジェティなど | |
| 製油所近代化(アハマディ=クウェート) | ○ | 150 | 東洋エンジ、テクニップ・イタリー、KBR |
| エチレン(ジュアイバ=クウェート) | 1,000 | 東洋エンジ、日揮、KBR、ABBルーマス | |
| LNG(オラコラ=ナイジェリア) | 1,000 | ベクテル、KBR―日揮 | |
| LNG(ルアンダ=アンゴラ) | ○ | 1,000 | 日揮―KBR―テクニップ、ベクテル |
| 【北米・南米・欧州】 | |||
| LNG(アラスカ=米国) | 3,000 | 日揮、千代田化工、ベクテル、KBRほか | |
| LNG受け入れ基地(ハバカルフォルニア=メキシコ) | 250 | 三菱重工 | |
| LNG(ホセ=ベネズエラ) | 700 | 日揮―KBR、千代田化工ほか | |
| メタノール(カラカス=ベネズエラ) | 300 | 三菱重工 | |
| アロマ(ラプラタ=アルゼンチン) | ○ | 400 | 千代田化工、テクニップ |
| 【ロシア・中央アジア・東欧】 | |||
| 製油所(トゥアプセ=ロシア) | 2,400 | 千代田化工、東洋エンジ、テクニップ、スナムプロジェティ、現代建設ほか | |
| エチレン・ポリエチレン(ガザチャク=トルクメニスタン) | ○ | 800 | 日揮―リンデ |
○は応札中、無印は応札準備=原則として最終週に掲載します。
化学各社、北アフリカで石化など大型投資、豊富な資源活用
北アフリカで化学分野の大型投資計画が相次いでスタートする。天然ガスをはじめとする豊富な資源を活用したプロジェクトで、ダウ・ケミカルとトタルが石油化学事業を、メタネックスがメタノール事業をそれぞれ展開する。各社の計画が具体化すると、北アフリカは化学産業の生産拠点としてのポジションを高めることになる。
各社が北アフリカに着目するのは、豊富に存在する資源が背景にある。原料の確保に優位性がある国や地域に生産拠点を置くことによって競争力を高めることが可能になるため、いずれの計画でも世界規模のプラントを建設することになる。
ダウ・ケミカルはリビアで石油化学事業に乗り出す。リビア国営石油会社(NOC)と合弁事業を展開することで基本合意している。計画では合弁会社を設立し、第1弾としてNOCのナフサクラッカーとポリエチレン(PE)の設備近代化と増強を実施、これに続いてエタンベースのクラッカー、PE、ポリプロピレン(PP)の各プラントを新設する。
NOCは現在、ラス・ラヌフに年産33万トンのエチレンプラントと、8万トンの直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)の設備を持っている。この設備を近代化し、さらに新設備を建設する。詳細は正式契約後に固める。
トタルは、アルジェリアで石油化学事業を展開する。アルジェリア炭化水素公社のソナトラックと共同で、年産110万トンのエチレンプラントとともに、同41万トンのモノエチレングリコール(MEG)、同35万トンの高密度ポリエチレン(HDPE)、同45万トンのL-LDPE設備を建設。投資額は30億米ドルを見込む。
メタノール大手のメタネックスはエジプトに新設備を建設する。この計画を推進するため同社が60%出資する合弁会社を設立している。建設する新設備の年産能力は126万トン。10年初めにも生産活動を始める予定だ。
同社はトリニダード・トバゴとチリを中心にメタノールの生産体制を強化してきた。エジプトは天然ガスが豊富であることから、こうした主力生産拠点に並ぶ立地になる可能性があると判断しており、ジメチルエーテル(DME)の事業化も検討していく。
中国特集 石炭化学・本格的な拡大期へ
石炭由来のオレフィンにより、近い将来アジアの化学業界地図が大きく塗り替わる可能性が出ている。中国で、メタノールのオレフィン転換(MTO)の商業生産に向けた技術開発が進められており、09年には第1号のプラントが立ち上がる。すでに石炭を原料とするメタノール、酢酸生産は拡大基調となっており、メタノールでは現在浮上している計画をすべて合わせると年産能力が10年に6000万トン、15年には7000万トンにも達する。ジメチルエーテル(DME)としての自動車燃料への応用に向けた基盤整備も進んでいる。一次エネルギー源の70%を占める石炭は、二酸化炭素排出量が多いため、天然ガスへの代替を促進することで大気汚染の防止や排出削減目標の達成を目指す。一方で需給がタイトな天然ガスを原料としたメタノール設備の新増設は今夏、原則的に禁止された。原炭生産量が20億トンを超えるなか、中央政府は石炭の高度利用、より付加価値の高い分野への応用展開を奨励しており、環境対応ニーズの高まりや原油市況の高止まりを背景として、中国の石炭化学が本格的な拡大期を迎えている。
中国は、石炭産業の再構築を進めている。原炭生産量が20億トンを超える一方、生産・流通面の非効率や環境への影響が指摘されている。今年に入って国家発展改革委員会は国家環境保護総局と連名で、石炭工業の省エネルギーおよび排出削減に関する意見通知を発布した。このなかでは、国の現5カ年計画に沿ったかたちで、10年までに05年比20%の省エネルギー達成が目標として掲げられた。引き続き小規模炭田の閉鎖を進める一方、13大炭田を中心とする大型炭鉱に生産を集約して効率を高めながら、石炭ガス化をはじめとする高度利用も促進し、総合的な競争力向上が図られる。
中国の原炭生産量は今年上半期(1~6月)、前年同期比7・1%増の約11億トンとなった。原油消費が拡大しているものの、石炭はいぜんとして主要なエネルギー源としての地位を占めている。06年以来、神東(内蒙古自治区)、陝北(陝西省)、黄隴(同)、晋北(山西省)、晋東(同)、寧東(寧夏回族自治区)など13の大型石炭基地を制定し、規模・技術面で競争力を高めながら、生産を拡大している。また中部地区と総称される湖北、湖南、河南、安徽、江西および山西の6省の振興が現5カ年計画中の重点施策の1つとして進められており、石炭産業は、牽引役として注目されている。
メタノールやジメチルエーテル(DME)をはじめとする石炭化学は大きく広がっており、新疆や河北などで大型石炭化学基地の整備も進められている。沿海部に比べ経済発展で後れを取る中西部にとって、石炭産業は大きな活性剤の1つ。山元での省エネや環境対策に力を注ぐ一方、原炭の生産効率を高め、石炭化学を含む石炭工業全体の競争力を高めていく。
石炭化学が脚光を浴びる半面、無秩序な投資による競争力に欠ける小規模設備の乱立が不安材料となっていた。国家発展改革委員会によると、05年の中国のメタノール生産量が約540万トンだったのに対し、建設または計画中の設備を合わせると、すでに昨年段階で総生産能力が1000万トン以上に達している。このため同委員会では、健全な産業の発展に向け、メタノールおよびDMEでは年産100万トン以下の計画を原則的に批准しないとの通知を出し、今後の大規模化に道筋をつけた。
メタノールの国際価格は、石炭を原料とする中国品にとって魅力的なほか、内需に限ってもクリーンエネルギー源として今後の需要拡大が見込まれる。国の方針に沿った年産100万トン級の大型計画が相次いでおり、内モンゴル自治区だけでも6つのプロジェクトが浮上している。同自治区だけで10年に生産能力が1000万トンを超える見込み。また今春には、大同煤鉱集団が大同市(山西省)で第1期・同60万トン設備の建設に着手した。プロジェクトはシェル技術を導入するとともに、単一プラントでは最大級となる。同プロジェクトは山西省の現5カ年計画でも重点項目に組み込まれている。大同煤鉱集団は、大同市など3市にまたがる大型石炭メーカーで、昨年の石炭生産量は約1億トン。
一方、石炭を出発原料とするジメチルエーテル(DME)の大型設備建設も本格化してきた。張家港(江蘇省)では年産100万トン設備が今春、相次いで着工している。中央政府が重視する石炭化学およびエネルギー政策の重要な柱として、クリーンエネルギーの一つであるDMEの企業化に注目が集まる。
張家港では久泰能源科技有限公司、中国能源有限公司の共同出資による久泰能源(張家港)有限公司が、年産100万トンのDME生産設備の建設を進めている。第1期の同30万トンは今年末、第2期の同70万トンは08年初めに、それぞれ稼働を開始する計画。久泰能源は現在、同15万トンプラントを有する最大メーカー。10年をめどに内蒙古でも同100万トンプラントを立ち上げる計画。また張家港では新能(張家港)能源有限公司も、同100万トン設備の建設を進めている。第11次5カ年計画を通じ、中国のDME生産は飛躍的に拡大する様相となってきた。
中国最大の石炭企業である神華集団では、内蒙古自治区・オルドス市で建設中の石炭直接液化プラントに、メタノールのオレフィン転換(MTO)を組み込むことで、年間60万トン前後のオレフィンを生産する計画が進められている。豊富かつ安価な石炭を原料とするため、石油化学品に比べて圧倒的な価格競争力を持つ。同プロジェクトが順調に稼働すれば、技術移転によって他の石炭液化プロジェクトに拍車がかかることは必至。石油化学にとって、新たな脅威となりうる。
神華集団は石炭直接液化プロジェクトを、04年に国家発展改革委員会の批准を受け、着工した。同委員会などによると昨年末の段階で第1期予定投資額の7割超がすでに投入されており、反応機やタンク、配管などの基本設備はほぼ完成しているという。中国政府としても、エネルギー戦略上の重要プロジェクトと位置づけており、昨年6月には温家宝首相が現地を視察している。
同プロジェクトでは、燃料油・燃料ガスのほか年産約200万トンのメタノールから、エチレン同30万トンと、プロピレン同30万トン、合計同60万トンのオレフィンを生産する計画。石炭直接液化については試験プラントではすでに成功している。オレフィン生産を実現するためのMTO技術が確立され、商業生産に漕ぎ着けるかに、高い関心が集まる。
石炭液化設備は同規模の石油精製設備に比べ建設コストが数倍かかるといわれるものの、安価な石炭を原料とするため石油製品に比べ圧倒的な価格競争力が期待できる。原油が1バーレル22ドルでも競争力を失わないとの見方もある。石炭由来オレフィンが数10万トン規模で立ち上がることになれば、中国にとどまらず、アジアの石油化学業界にとって大きな脅威となりうる。
メタノールの大幅増産にともない、酢酸の生産も拡大している。高純度テレフタル酸(PTA)向けをはじめ酢酸エステル、酢酸ビニルなどの需要が伸びているうえ、石炭をベースとしたメタノールの大増設という、国際競争力をもつ原料基盤の創出が大きい。世界最大手の英BPが中国石化との合弁で年産50万トン設備の建設を進めているほか、米セラニーズも同60万トン設備を建設中。これら南京の2設備が08年にも本格稼働するほか、江蘇索普集団(SOPO)も、09年をめどに同60万トンへの増設を行っている。PTAの大幅増設が続くなど酢酸の内需が急拡大しているとはいえ、5~6年後には輸出ポジションに転じるとの見方もある。石炭ガス化をベースに、競争力をもった酢酸が周辺市場に与えるインパクトは大きい。
大型設備が相次いで立ち上がるPTA向けはもとより、環境規制の強化などから溶剤分野での需要も伸長するなど、酢酸を基点とするアセチルチェーンの市場は、急速に拡大している。この流れを受け世界2大メーカーであるBPおよびセラニーズは、いち早く大型設備の建設を進めてきた。いずれも来年には本格稼働する見込み。セラニーズが石炭ガス化による原料確保をポイントとするように、石化原料が高騰するなかでメタ法酢酸の競争力は小さくない。
中国メーカーも需要動向や原料動向を見極め、新増設に動いている。このうちSOPOは既存設備を増強し、09年に年産60万トン体制を構築する計画。世界第3位の酢酸メーカーを目指した積極投資を進めている。繊維原料や溶剤向けなど、内需の拡大は続くものの、こうした大型設備の相次ぐ稼働もあり、数年後には中国からの酢酸および誘導品輸出が大きく増加する見通し。
中国メタノール生産、10年に6000万トンへ、MTOなど応用期待
【上海=白石孝祐】中国のメタノール生産が大きく拡大している。現在浮上している計画をすべて合わせると年産能力が10年に6000万トン、15年には7000万トンにも達するといわれ、ジメチルエーテル(DME)としての自動車燃料や、オレフィン生産への応用(MTO)なども広がりをみせている。天然ガスとともに豊富な石炭を原料とするメタノールは、石油代替資源としても、石炭の高度利用の面からも注目されており、自動車燃料への応用が広がると、国内需要も大きく増加する。同時にMTOにかかわる技術開発も進んでおり、メタノール自体の生産能力が大きく拡大するだけに、将来、大型MTO設備が相次ぎ立ち上がる段階になれば、石油化学産業へも影響を及ぼすものとみられる。
中国では、豊富な原料資源を背景に石炭化学が脚光を浴びており、代替エネルギーとしての応用も注目を集めている。その半面、無秩序な投資による競争力に欠ける小規模設備の乱立が顕在化してきた。国家発展改革委員会によると、05年の中国のメタノール生産量は約540万トンだったのに対して、建設または計画中の設備を合わせると、昨年段階で総生産能力が1000万トン以上に達した。このため同委員会では、健全な産業の発展に向け、メタノールおよびDMEでは年産100万トン以下の計画を原則的に批准しないとの通知を出した。
ただメタノールの国際価格は、石炭を原料とする中国品にとって魅力的なほか、内需に限ってもクリーンエネルギーとして今後の大幅な需要拡大が見込まれる。このため年産100万トン級の大型計画が相次いでおり、国家発展改革委員会によると内モンゴル自治区だけでも6つのプロジェクトが浮上している。同自治区だけで10年に生産能力が1000万トンを超える見込み。
一方、DMEでは張家港で久泰能源(張家港)有限公司および新能(張家港)能源有限公司が、いずれも年産100万トン設備を建設している。久泰能源では、第1期の同30万トン設備を今年末、第2期の同70万トン設備を08年初めに立ち上げる計画。このほか内モンゴルなどで複数の計画が進行している。
またMTOでは、神華集団と上海華誼集団の包頭(内モンゴル自治区)の年産60万トンプロジェクトが昨年末、国家の承認を受けた。同計画には、メタノール同180万トン、ポリエチレン同30万トン、ポリプロピレン同30万トンが含まれており、総投資額は120億元以上。MTO設備は国産技術を応用する。MTOではこのほかにも外資との合弁を含む複数の計画が進められている。
中国、石炭産業の環境対策強化、大型化や高度利用促進
【上海=白石孝祐】中国は、石炭産業の再構築を進める。原炭生産量が20億トンを超える一方で、生産・流通面の非効率や環境への影響が指摘されている。このほど国家発展改革委員会は国家環境保護総局と連名で、石炭工業の省エネルギーおよび排出削減に関する意見通知を発布した。同通知では、国の現5カ年計画に沿ったかたちで、10年までに05年比20%の省エネルギー達成が目標として掲げられた。今後は引き続き小規模炭田の閉鎖を進める一方、13大炭田を中心とする大型炭鉱に生産を集約して効率を高めながら、石炭ガス化をはじめとする高度利用も促進して総合的な競争力向上を図っていく構えだ。
中国の原炭生産量は今年上半期(1~6月)、前年同期比7・1%増の約11億トンとなった。原油消費が拡大しているものの、石炭はいぜんとして主要なエネルギー源としての地位を占めている。06年以来、神東(内蒙古自治区)、陝北(陝西省)、黄隴(同)、晋北(山西省)、晋東(同)、寧東(寧夏回族自治区)など13の大型石炭基地を制定し、規模・技術面で競争力を高めながら、生産を拡大している。また中部地区と総称される湖北、湖南、河南、安徽、江西および山西の6省の振興が現5カ年計画中の重点施策の1つとして進められており、石炭産業は、有力産業として注目されている。
一方、国をあげて推進している省エネルギー・環境対策は、石炭産業も例外ではない。このため小規模で非効率な炭鉱の閉鎖や、電力、用水のさらなる効率的利用などを図っていく。このほど明らかにされた省エネ・排出削減に関する意見通知では、10年末段階で05年比20%の省エネ、硫黄酸化物の排出抑制といった目標を掲げ、達成に向けた施策を推進する。
メタノールやジメチルエーテル(DME)をはじめとする石炭化学は大きく広がっており、新疆や河北などで大型石炭化学基地の整備も進められている。沿海部に比べ経済発展で後れを取る中西部にとって、石炭産業は大きな活性剤の1つ。山元での省エネや環境対策に力を注ぐ一方で、原炭の生産効率を高め、石炭化学を含む石炭工業全体の競争力を高めていく流れ。
三井物産/オルドスと協業拡大/石炭軸に3000億円事業化
三井物産は中国のオルドス・グループとの協業関係を通じて多面的な事業展開を狙う。合金鉄部門のオルドス電力冶金公司への出資をテコに、従来のカシミヤ取引、合金鉄合弁事業に続き、原料炭、一般炭の開発、コークス製造、石炭の液化、発電事業、化学事業、インフラ事業、ロジスティック事業など最大3000億円規模の事業化をめざす。伯リオドセ(CVRD)と同様、社内にオルドス連絡会議を設置して本部横断的な事業を立ち上げることにより、総合力を発揮してオルドス事業の企業価値向上をめざす考えだ。
2006年9月に合意したオルドス電力冶金への25%出資を4月に完了した。6月には三井物産出資後初めてとなるオルドス電力冶金の董事会を開き、三井物産との協力関係拡大を確認した。両社の強みを生かした多方面にわたる共同計画をリストアップして事業化を急いでいる。
オルドスは埋蔵量30億トンの石炭資源を持ち、政府許認可を含め開発を準備中だ。炭鉱開発を起点に原料炭、一般炭の生産、冶金用コークスの生産販売、石油代替のジメチルエーテル(DME)、石炭のガス化、発電、石炭化学品製造などの展開を想定。三井物産の関連部署を巻き込んで鉄鋼原料、エネルギー、工業製品の総合的な事業展開に結び付ける。
JFEスチールと3社のシリコマンガン合金鉄合弁、内蒙古オルドスEJMマンガン合金で能力倍増となる2期工事の事業化調査を進めており、年度内に投資実行の結論を出す見通し。
三井物産はカシミヤ最大手のオルドスと30年間にわたるカシミヤ取引の関係を持つ。04年には内蒙古オルドスEJMマンガン合金を設立し、06年7月に年産7万5000トン体制で操業を開始した。
三井物産は総合力商社を掲げて本部間の連携、相乗効果を従来以上に引き出す試みを強めてきた。CVRDへの間接出資をテコに従来の鉄鉱石中心の関係を全社に広げ、鉄道車両の販売やブラジル国内の物流、非鉄資源開発など総合的な取り組みに発展させている。
2社が年産100万トンのジエチルエーテル事業に投資 張家港
2007中国ジメチルエーテル(DME)生産応用技術交流会の組織委員会がこのほど明らかにしたところよると、山東久泰化工科技有限公司と河北新奥集団は江蘇張家港において、それぞれ年産100万トンのジエチルエーテル生産プロジェクトに投資する。生産されるジメチルエーテルはガソリンに混合する、または液化石油ガスを代替する燃料として、すべて民間で使用される。 久泰能源(張家港)有限公司の100万トンジエチルエーテル生産プロジェクトは江蘇省揚子江国際化学工業パークにおいて2期に分けて建設される。第1期プロジェクト(年産30万トン)は年末に生産を開始する予定という。第2期プロジェクトは2008年初めに起工、2008年末に竣工する見込み。全プロジェクトの完成後、年間売上は50億元に達する見込みという。 河北新奥集団能源(張家港)能源有限公司の100万トンジエチルエーテル生産プロジェクトも同じく揚子江国際化学工業パークに建設される。第1期プロジェクト(年産20万トン)は今月中に起工する見込み。(編集FN/O)(日中経済通信10月19日)